今週のじぃご飯♪

今週のじぃご飯♪

がっていばれる


「あ。青ちゃん。」


風呂場に入ってきたのは、青ちゃんじゃなくてスサノオ?
俺のこと、クシちゃんって呼ばなかったよね。
何か、狭い風呂場が大人数になったようでややこしい。
まあ、厳密には傍目には、二人しかいないんだけど。


『そなたが泣いたから、オロチは大切な鏡を割ったのだな。』


古代の物語の決着に、スサノオも驚いていたらしい。
これまでいつも、転生は上手くいかなかったとスサノオは言った。
お互いがお互いを好きになって、やっと結とき精子健康になって、オロチのほうが戦争に行ってしまったり、クシナダが早死にしたりしたのだと言う。
今回は歌を歌うところまで行ったから、もしかすると本当に龍神の苦しみは解き放たれたのだろうかと、俺の中のクシナダヒメに聞きたかったらしい。


だから、代わりに答えておいた。


「きっと、オロチは納得する答えを見つけたんだよ。」


過去は過去、今は今だと気が付いたんだよ。
転生してもしなくても、生まれた命が寿命を全うして生きるなら、それはもう新しい命だときっと気が付いたんだ。
まあ、さすがに青ちゃんスサノオのやったことは、実際酷かったよね。
過去のオロチが、かわいそうでならなかったもの。


凶暴な子どものように、人のものを欲しがったスサノオ。
暴力で全てをねじ伏せて、力ずくで思い通りにしてしまった。うっかり、クシナダヒメとオロチの馴れ初めは?なんて馬鹿な質精子 健康問にも、笑いながら答えてくれた。


昔から、蛇は、米を食う鼠を食べてくれるので、水の神だけでなく稲の神でもあるのだそうだ。
ふ~ん一つ、お利口になったよ。
討ち果たされて、今や出雲の地で八つの山になってしまったオロチは、きっとクシナダヒメが鼠が米を食べて困るなんていおうものならきっと、鼠退治に相当気合を入れて張り切ったに違いない。
神器を、ぶんぶん振り回したりして。
何か想像がついて、微笑ましい。


「仲良かったんだね。」


「ええ、とても。」


なんのてらいもなくおねえさんは答え、俺はずっと怖た「長いもの」に対する見方が変わった気がする。


「おねえさんたちは、これからもずっと、緋色御当主と一緒にいるの?」


「それをお望みなら、ずっと。」


この先、緋色が一人じゃないんだと思って、ちょっと嬉しくなった。
普通の暮らしに戻ってしまう俺は、一緒には居られないから。


クシナダヒメの姿絵の入っていた中に、うんと昔にクシナダヒメの記憶を持っていた人が書いた手紙(?)があるのを見せてもらった。
オロチご当主の宝物なんだそうだ。



胃を押さえてうずくまったぼくの姿に、青白い顔を向け精弱た海鎚緋色は、意外なほど優しい笑みを浮かべていた。
表に車が着ましたよと、家人が呼びに来た隙に、ぼくは「ちょっと待ってて!」と、声をかけ、海鎚緋色を玄関先に引っ張り込んだ。


「ね。本当にこれでよかったの?」


いつ会えるかも分からないなら、聞いておかなければ。


「鏡が割れてしまったら、神楽も出来ないし、これから先はどうなるんだ?」


御当主はちょっと驚いていた。


「え?」


関わりがなくなって、ぼくが心底安堵して帰宅するんだと思っていたらしい。
言っておくけど、そんな薄情者じゃないぞ。


「ここの神楽は、手っ取り早く言えば、約束の確認のために行っていた神事だったんだ。」


「そなたが思いがけず割ってしまったが、案じなくとも、ちゃんと我とクシナダは再び永久(とわ)を誓い約束を交わした。」
それって、約束が果たせたってことなのか?とぼくは、問うた。


「クシナダが、こういう姿で現れるとは思いもよらなかったが、これまで待ったんだ。」


「後、千年でも待つさ。」
予想通りの答えに、思わずここに来てからずっと思っていたことを口にしてしまった。


「あのさぼく、男に生まれてきて、ごめんね。」


海鎚緋色は、それを聞くなりくしゃと破顔した。